東芝半導体売却、社長「日米韓連合と28日までに契約」 2部降格と有報提出延期を謝罪
経営再建中の東芝の綱川智社長は23日、記者会見し、半導体子会社「東芝メモリ」の売却をめぐり、産業革新機構を軸とする「日米韓連合」に優先交渉権を与えたことに関し、「今の形で合意を進め、28日(の株主総会)までに契約したい」と説明した。
東芝は23日、平成29年3月期決算を記した有価証券報告書(有報)の提出を8月10日に延期すると発表。6月末が法廷期限だったが、関東財務局に延期を申請し、承認された。東京証券取引所は、3月末で負債が資産を上回る債務超過に陥ったと判断、8月1日付で東芝株を東証1部から2部へ降格させると同日発表した。
有報提出が遅れているのは、米原発事業の巨額損失を認識した時期をめぐる監査法人との意見の隔たりが埋まらず、決算の信頼性にお墨付きを与える「適正意見」がつかないため。同社の提出延期は、27年春に不正会計が発覚して以降で5度目となる。
綱川社長は「株主、投資家をはじめステークホルダー(利害関係者)の皆様に深くおわびする」と謝罪した。また東芝メモリの売却をめぐり、協業相手で売却に反対する米ウエスタンデジタル(WD)に参画を働きかけることは検討していないとした。
同社はこのほか、独自に試算した29年3月期の決算見通しを修正した。不正会計をめぐる損害賠償に関して引当金を積み増したことなどから、連結最終赤字は9952億円と5月の公表時から452億円拡大。期末の債務超過額は、5400億円から5816億円に膨らんだ。
関連記事