米WD、半導体売却で東芝提訴 対立激化 スケジュールや選定に影響も
東芝が売却手続きを進める半導体子会社「東芝メモリ」について、協業相手の米ウエスタン・デジタル(WD)は14日(日本時間15日)、合弁契約に違反しているとして米国の裁判所に売却中止を求める訴えを起こしたと発表した。東芝は予定通り28日までに売却先を正式決定する方針だが、対立がさらに深まったことで、今後のスケジュールや売却先選定に影響が及ぶ可能性もある。
WDは、「東芝に契約上の権利を理解してもらえず、申し立てを行う以外に選択肢がない立場に立たされた」とするスティーブ・ミリガン最高経営責任者(CEO)のコメントを発表。東芝は「訴状を受け取っていないのでコメントは差し控える」とした。
WDは5月、国際仲裁裁判所に売却中止を求め提訴した。今回の訴えには、仲裁裁判所の決定が出るまでの売却を阻止する狙いがあるとみられる。
東芝メモリの経営権取得にこだわるWDと東芝の溝は深い。対立が解けなければ、東芝が売却先からWDを外し、産業革新機構などの「日米連合」に韓国半導体大手のSKハイニックスなどを加えた「新連合構想」に傾く可能性もありそうだ。
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【用語解説】東芝の半導体事業
東芝の利益の大半を稼ぐ主力事業。今年4月に分社化した東芝メモリが手掛けるスマートフォンの記憶媒体「フラッシュメモリー」は、世界で2位の市場占有率を持つ。米ウエスタン・デジタル(WD)と三重県四日市市の工場を共同運営しており、両社は毎年数千億円の設備投資を実施する方針を掲げる。製品の国際競争力が高く、政府は海外への技術流出の阻止を目指している。
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