東芝、決算なく株主総会 上場維持に悪材料か

 
東芝本社の入るビル=東京都港区(古厩正樹撮影)

 経営再建中の東芝は31日、6月28日に開催する定時株主総会で、2017年3月期決算の報告ができないと発表した。監査法人と対立し、6月末の期限までに決算を含む有価証券報告書を財務局に提出することが難しいため。東京証券取引所は東芝の内部管理体制の改善を見極めて上場廃止を判断するが、審査に悪材料となりそうだ。

 有価証券報告書はぎりぎりまで提出に向け調整するとしたが、決算についてはあらためて臨時の株主総会を開催して報告する方針だ。開催の時期は未定。定時総会の議案は、電力事業の分社化と取締役候補者の選任。元会長で巨額損失を出した米原発事業の責任者だった志賀重範執行役は退任し、現在の綱川智社長ら取締役については臨時総会で再び議案を諮る。

 東芝は米原発事業の巨額損失の認識時期を巡りPwCあらた監査法人と意見が対立し、17年3月期決算を正式に発表できていない。東芝が監査法人の変更を模索するなど一時は断絶状態に陥ったが、現在は協議を再開しており関係正常化に向かっているようだ。

 東芝は不正会計問題が発覚した15年も定時総会で決算を報告できず、9月に臨時総会を開いた。東証はこの問題で東芝株を上場廃止に一歩手前の「特設注意市場銘柄」に指定しており、解除か廃止を今後数カ月以内に判断する見込みだ。