日産自動車社長 カルロス・ゴーンさん(62)

2017 成長への展望

 ■三菱自動車改革しエコカーで相乗効果

 --三菱自動車と資本業務提携し、会長に就任した

 「昨年は経営幹部を派遣し、協力する分野を特定した。今年は三菱自を改革し、相乗効果を発揮する。日産自動車が自社開発を計画していたプラグインハイブリッド車(PHV)は三菱自の技術を使えば規模を拡大し、早期に市場投入できる。電気自動車(EV)でもデザインなどは違うが、プラットフォーム(車台)や部品は共通化する」

 --市場の見通しは

 「世界の2大市場を見ると、中国は昨年の好調が継続するだろう。米国も販売は高水準で推移しており、維持できれば満足だ。欧州は回復傾向が続いている。為替レートや原材料価格の変動は激しいが、(各国の)政府が行うインフラ整備など成長投資が補うだろう」

 --米次期政権は北米自由貿易協定(NAFTA)の再交渉を示唆している

 「(加盟国の)メキシコはシェア1位の重要な市場だ。生産でも米国やカナダなどへの輸出拠点として重要だ。(協定に)変化があったら対応を考えるが、それほど心配はしていない。米国が自国の利益を考えれば、メキシコの強い通商関係を守ることになるからだ」

 --部品子会社カルソニックカンセイの保有株を米投資ファンドに売却する

 「EVや自動運転、つながるクルマなどに技術の軸足が移っている。自動車業界はどの技術を自社に入れ、どれを外部に任せるかで進化してきた。カルソニックカンセイは日産子会社とみられることが他の取引の障害になっているので、独立して成長する余地が広がる」

 --EV向け電池の生産子会社も売却する方針だ

 「(事業化を発表した)2008年はリチウムイオン電池は市場になかったので、生産に乗り出した。だが、多くの大手企業が市場に参入し、自前で生産する重要性が低くなった。全ての技術に投資はできないので、優先順位をつけなければいけない。消費者は部品よりもクルマそのものに注目している」

 --昨年11月に発売した主力小型車「ノート」が好調だ

 「三菱自との提携の狙いの一つは、フルラインアップメーカーになることだ。将来的に小型車や軽自動車で存在感を示し、国内販売で(トヨタ自動車に次ぐ)2位になりたい。ノートで攻勢をかけ、自動運転技術を採用したミニバン『セレナ』も人気を博している。もっと新商品や新技術を投入し、2位を獲得できることを期待している」

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【プロフィル】カルロス・ゴーン

 仏国立高等鉱業学校卒。北米ミシュラン社長、ルノー上席副社長などを経て1999年日産自動車入社。2000年6月に社長に就任し、01年6月からCEO(最高経営責任者)、16年12月から三菱自動車会長を兼務。ブラジル出身。