パソナ、介護離職防止へ実証実験 遠方の実家で在宅勤務
介護と仕事の両立を支援しようと、パソナは社員が遠方の実家で在宅勤務できる体制づくりを始めた。離れて暮らす親の介護準備のための帰省などを想定し、実家や実家近くの支店で仕事をする実証実験を行う。働き方の選択肢を増やすことで、介護に伴う社員の離職を防ぐ目的だ。
パソナは介護の相談窓口を設置したほか、一定の裁量を持つ社員の在宅勤務を認めてきたが、介護目的の帰省先で在宅勤務という活用例はほとんどない。そこで、遠方に住む親元で介護や準備をしながら在宅勤務ができるかどうか、実証実験を行うことにした。
自宅から実家までが200キロメートル以上で、実際に介護の可能性のある社員に希望者を募り、親が認知症や自宅リハビリ中という、営業部門の部長やゼネラルマネジャーの管理職の参加が決まった。それぞれ、福岡県や千葉県の実家に土日に帰省し、前後を在宅勤務とする。
在宅勤務では、インターネット電話「スカイプ」での会議参加や、クラウドを利用して資料作成を行う。帰省のための交通費は会社が負担する。担当者は「在宅勤務制度やIT環境は整っているが(実家での在宅勤務は)心理的抵抗もあるようだ。実例を積み上げ、運用を促したい」と話している。
家族の介護を始める際には、ケアマネジャーと相談して介護計画を作成するなど、一定の準備期間が必要となる。このため育児・介護休業法では会社員に対し、家族が要介護状態になったとき、対象者1人につき通算93日の休業を認めている。
ただ、一般的に親の介護が始まる世代は、責任の重い管理職や中堅以上の社員が多い。長期休職で「職場に迷惑をかける」など、思い詰めて離職するケースもある。
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