ソフトバンク孫社長、一石二鳥を狙う10兆円ファンド AI時代の投資事業 借金13兆円超も「必ず改善」
ソフトバンクグループの孫正義社長は7日、近く立ち上げる10兆円規模の投資ファンドについて、「今後数百億円以上の投資はファンドから行う」と述べた。外部資金を活用し、同社の“弱点”とも言える財務体質の改善と巨額投資を両立させていく考えを明らかにしたものだ。すべてのモノがインターネットにつながるIoT(インターネット・オブ・シングス)の関連企業に投資し、買収した英半導体設計大手アーム・ホールディングスを中心に、企業連合をつくる構想も示した。
孫社長は「大きな投資は、パートナーから成功報酬をもらいながら行う。(ソフトバンクの)バランスシートは必ず改善する」と強調した。同社の有利子負債は9月末に13兆6600億円と、アームの買収などにより3カ月前から約2兆円膨らんだ。財務体質の改善は急務で、株価の重しにもなっていた。
ファンドには今後5年間でソフトバンクが250億ドル(約2.6兆円)、サウジアラビアの政府系ファンドが最大450億ドル(約4.7兆円)の出資を行う予定で、他の投資家からも好感触を得ているという。孫社長はファンド設立の狙いについて、アーム買収と同じ「シンギュラリティ」を挙げた。将来起こるとされる人工知能(AI)の能力が人間を超える現象を意味しており、「あらゆる事業が再定義され、ビジネスチャンスが生まれる。そのチャンスに向かって積極的に取り組む」と強調した。
具体的には、ファンドがIoTやAIの関連企業に投資し、その企業群とアームを連携させる。アームが設計した半導体を通して、ネットにつながる機器から集まる膨大なデータを分析し、AIの精度を高める狙いだ。もっとも新しい手法には、同社の投資戦略がこれまで通り成功を収め続ける必要がある。孫社長は「18年間で投資資産を15倍に増やした」と強調し、ファンドの成功に自信を示した。
一方、ソフトバンクグループが同日発表した2016年9月中間連結決算は、売上高が0.2%減の4兆2718億円、営業利益が3.5%増の6539億円、最終利益は79.6%増の7662億円と減収増益だった。
関連記事