スマホ実質0円は「販売店の独自施策」 開き直る携帯各社 総務省指針、有名無実化
スマートフォンの「実質0円」販売を是正する総務省のガイドライン(指針)が有名無実化している。販売店では米アップルのiPhone(アイフォーン)7を含め、さまざまな機種が0円で販売されている。だが、携帯各社は指針に抵触しない「販売店の独自施策だ」と主張する。13日から開かれる総務省の有識者会合では、指針の適用を開始した4月以降の各社の販売施策などを議論する見通し。携帯各社と総務省の“いたちごっこ”は、再び緊迫感を増している。(大坪玲央)
今月8~10日の3連休、東京都西部の携帯各社の販売店や家電量販店の店頭には、「0円」をアピールするポスターが多数、掲示されていた。中でもソフトバンクのある販売店は、4月以降少なくなった「17万円現金還元」を大きく掲げていた。
ただ、いずれの店舗も古い端末の下取りや、光インターネットと携帯電話のセット契約など、指針に抵触しない条件を提示している。このため、携帯各社も問題はないとの認識だ。
総務省は携帯各社が販売店に支払う多額の奨励金など端末購入補助の費用が、通話料や通信料に上乗せされ、料金高止まりの原因になっているとみている。それだけに指針では、販売店が独自で行う割引施策を適用外とした。
ただ、こうした割り引きは、販売店が自腹を切って実施しているのか、それとも携帯事業者による奨励金を原資にしているのか、が非常に判断しにくい。
13日からの会合に出席する有識者によると、端末購入補助名目の奨励金は、各社とも指針適用後に減らしているという。このため、別の名目で奨励金を販売店に渡し「『これで割引しろ』と言って、販売店独自の割引名目で0円販売が続けられている」と憤る。
総務省は指針適用後、4月に行政指導を各社に行ったほか、5月以降も口頭注意や文書注意などを繰り返してきた。7日には、端末購入に使える高額の電子マネーやクーポンを送付していたとして、指導よりも重い行政処分を発表した。総務省は、各社が秘密裏に行っている指針に抵触する割引手法について、月内に報告するよう求めている。
総務省幹部は、指針に抵触する補助が現在も横行している状況を把握しているとした上で、「確認できていないものについては携帯事業者からの報告で裏を取りたい」と話す。ある有識者は「報告内容に虚偽があった場合は営業停止もあり得る。ひどい業界だ」と批判した。
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