LINE、格安スマホ参入 月500円で使い放題
無料通信アプリを手がけるLINE(ライン)は5日、月額500円からのSIMカードなどを専用サイトで発売し、格安スマートフォン事業に参入したと発表した。LINEや「ツイッター」、「フェイスブック」を使っても毎月のデータ通信量が減らず、使い放題になる料金プランが特徴。LINEは、約57%にとどまっている国内のスマホ普及率の底上げを図り、音楽やゲームなど他事業の収益向上につなげる。
格安スマホにはイオンや楽天など参入が相次いでいる。国内で6000万人以上が使うLINEが加わり、顧客獲得の競争は激しさを増しそうだ。
LINEは格安スマホ事業を手がける全額出資子会社「LINEモバイル」を設立。NTTドコモから回線などを借りるMVNO(仮想移動体通信事業者)として、SIMカードや格安スマホを提供する。格安スマホはシャープや富士通、中国の華為技術(ファーウェイ)などの製品を扱う。
料金プランは、毎月データ通信量1ギガバイトで月額500円の場合、LINEのみが使い放題。月額1110~2640円のデータ通信量3~10ギガバイトのプランは、LINE、ツイッター、フェイスブックが使い放題になる。
LINEの舛田淳取締役は同日、定額制音楽配信サービス「LINEミュージック」や「LINEゲーム」も使い放題になるプランを今後提供することを明らかにした。
毎月のデータ通信量の制限を超えるとインターネットの速度が低下することに対する不満は、若年層を中心に根強い。LINEモバイルは、利用頻度の高いLINEなどのアプリを使ってもデータ通信量が減らないという、大手携帯電話会社にないサービスで差別化。格安の料金とLINEの知名度の高さも併せて、通信料の高さを理由にスマホを敬遠していた顧客などにアピールし、従来型携帯電話からスマホへ移行するユーザーの取り込みを図る。
ただ、格安スマホはすでに乱立状態で価格競争も激化している。格安スマホの普及の重要な要素となるサポート体制については、LINEモバイルの場合は、LINEの公式アカウントや電話サポートに限られている。このため、高齢者やスマホ初心者などの需要を狙い通りに取り込むことができるかは未知数だ。(大坪玲央)
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