NTT、伊豆諸島全域に光回線整備 来年度サービス開始

 

 NTTは、伊豆諸島全島に光ファイバー網を敷設し、2017年度から最大毎秒1ギガ(ギガは10億)ビットの高速インターネット接続サービスを開始する。東京都の島嶼(とうしょ)5村6島情報通信基盤整備事業として取り組むもので、既に敷設済みの大島、三宅島、八丈島と合わせ、伊豆諸島9島全域で高速インターネット接続サービスが利用可能となる。自治体が島民向けに光回線を敷設する計画もあり、観光客誘致に加え、遠隔医療や防災情報提供など島内生活の利便性向上も期待できそうだ。

 事業は4、5年かけてNTT東日本が利島、新島、式根島、神津島、御蔵島、青ケ島に海底ケーブルを敷設する計画だ。第1期の16年度は三宅島~御蔵島~神津島を整備する。陸上部分の回線敷設工事は9月にも着手し、10月から海底ケーブルを敷設する計画で、予算は25億円。

 2期以降は(1)神津島~式根島~新島(2)新島~利島(3)八丈島~青ケ島と順次整備していく方針で、4期の総事業費は約92億円に上る見通しだ。

 NTT東は04年に大島と八丈島、11年に三宅島を加えた3島に光ファイバーを敷設し、高速インターネット利用を実現したが、他の6島は電話回線やマイクロ波を利用したADSL(非対称デジタル加入者線)にとどまっていた。光ファイバー化により通信速度は最大約100倍となり、毎秒1メガ(メガは100万)ビットのADSLでダウンロードに3.5時間かかっていた映画(2時間)が最短で12秒に縮まる。

 御蔵島村は16年度中に島内の光ファイバー敷設を完了し、島民向け高速インターネット接続サービスを提供する計画。村が設置した通信設備をNTT東が借りて運営を行う契約方式で、都によると「各島が同様の方式で順次サービスを提供する」(情報通信企画部)という。

 伊豆諸島は温暖な気候と透明度の高い海に囲まれ産業は観光や漁業が中心。有人9島の総人口は約1万8000人だが、今回新設する6島は約5400人で、人口は減少傾向が続いている。

 高速インターネットが利用可能になれば、高画質の動画視聴など通信環境が格段に向上するほか、遠隔医療や防災情報などのインフラが整備される。テレワークも可能になり移住促進にも寄与しそうだ。