日本公庫、中小海外進出支援へ提携先拡充 中国などで資金調達後押し
日本政策金融公庫は、中小企業による海外進出の支援態勢を強化する。その一環として、新たに中国の金融機関と提携。中国に現地法人を置く国内の取引先が、現地で円滑に人民元を調達できるようにする。自動車や家電などを中心とした日系大手企業の海外事業強化に伴い、中小企業の海外進出は増加傾向にあり、日本公庫の取引先も進出先は中国が圧倒的に多い。中国経済は製造業を中心とした高成長路線が限界となり難局を迎えている中、現地で事業活動を展開しやすい環境を後押しする。
日本公庫は、債務の保証と同様の目的のために発行される信用状を示す「スタンドバイ・クレジット(SBLC)」制度を導入している。これは中小企業の海外支店・現地法人が海外金融機関から現地流通通貨建ての融資を受ける際、日本公庫がSBLCを金融機関に発行する制度。これまでにタイのバンコック銀行やフィリピンのメトロポリタン銀行など9カ国・地域の金融機関と提携しており、延べ200社近くが活用している。
取引先の海外現地法人の数は15年末で6647。中国が占める比率は46%で人民元に対するニーズが高いことから、現地金融機関との提携を急ぐ。すでに交渉を進めており16年度中にも提携にこぎつけたい考え。
ただ、中国は1~2月の工業生産がリーマン・ショック後の09年1~2月以来、7年ぶりに低い伸びにとどまるなど経済の不透明感は強まっている。
このため中国以外へ進出するケースも想定。今後、インドも人気が高まると見ており、SBLC制度でインド金融機関と提携することも検討する。
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