鴻海、最大2000億円減額を打診 シャープへの出資額、革新機構下回る

 
大阪市阿倍野区のシャープ本社

 経営再建中のシャープを買収する交渉を進めている台湾・鴻海(ホンハイ)精密工業が、当初予定で4890億円だった出資額を最大で2000億円減額する意向をシャープに打診していることが22日、関係者の話で分かった。鴻海の出資額は官民ファンドの産業革新機構が提示していた3000億円を下回ることになる。シャープは週内にも臨時取締役会を開き、減額についての受け入れ可否を判断する。シャープは交渉の大幅な見直しを迫られることになった。

 鴻海が求める減額幅は500億~1000億円程度とみられていたが、さらに拡大した。減額する場合は普通株で1株118円とした買い取り価格の引き下げを検討。鴻海が議決権の過半を握り、買収する枠組みは維持するとみられる。

 鴻海は主力取引銀行のみずほ銀行、三菱東京UFJ銀行に対しても3000億円の融資を要求。今月末にシャープが返済期限を迎える5100億円の融資については、借り換え後に金利を引き下げるよう求めている。優先株の購入は予定通り行う見通しだ。

 主力行は融資枠の金利引き下げには難色を示しており、調印は4月にずれ込む可能性が高まっている。このため、5100億円の返済期限を1~3カ月猶予することも検討する。

 シャープは2月25日の臨時取締役会で、鴻海の傘下に入ることを決定した。

 しかし、前日の24日に鴻海へ提出した、訴訟の結果などによって将来発生する恐れのある財務リスクの「偶発債務」が問題視され、鴻海は調印を保留していた。

 偶発債務は最大で3000億円とされ、シャープの財務リスクを警戒した鴻海はシャープと主力行にさらに負担を迫る展開。買収が破談になった場合に備えた1000億円の保証金についても、鴻海は支払いを拒否する姿勢を示している。