ビッグチェンジしたスバル「フォレスター」280馬力ターボを公道試乗

提供:clicccar

 SUVらしいシルエットに走りの愉しさを与えたモデル、スバル・フォレスターは、東京モーターショー2015の開幕直前に大幅改良を発表しています。

 その新型フォレスターを公道で試乗することができました。

 先進安全技術「アイサイト」のステレオカメラを活用した新しいヘッドライト「アダプティブドライビングビーム」の新搭載や、NAエンジン車の大胆なエクステリア変更など話題豊富な新型フォレスターですが、試乗したのは280馬力のターボエンジンを積む2.0XT EyeSightです。

 新型になってリアコンビネーションランプの意匠変更して、車高の余裕「リフトアップ感」を演出していますが、さらに試乗した個体がセピアブロンズ・メタリックのボディカラーであったことと合わせて、いかにも重厚な本格SUVといった風情を漂わせています。

 しかし、280馬力のターボエンジンと18インチタイヤを組み合わせるフォレスターのターボ車は、今回の大幅改良により、ブレーキ制御を利用して旋回におけるトレース性を向上させる「アクティブ・トルク・ベクタリング」を採用しているのがニュース。

 さらに、ステアリングギア比のクイック化(15.5から14.0)に合わせたシャシーのセッティングにより、ステアリング操作に対する車両の反応(横Gの発生)を早めているというのも変更点として注目されるところ。

 ターボのフォレスターを試乗したのは、そうしたセールスポイントが公道でどのように効果を発揮するのかを感じてみたいと考えたからなのでした。

 また、前後サスペンションともにショックアブソーバーとバネレートを変更しているほか、リアサスペンションにおいて、ダンパーレバー比の変更、スタビライザー取り付け位置の最適化など乗り心地改善の変更をしています。

 クネクネと曲がった湖畔の周回路と走行ペースの速めな国道を試乗コースとして走り出して、まずは音振動の滑らかさが印象に残ります。圧倒的に静かというわけではありませんが、いやなノイズやヴァイブレーションが抑えられているので、音振がマイルドになったと感じさせられるのです。

 フォレスターはモノコック構造のボディですが、ラダーフレームを使った本格オフローダーのような、サスペンションの動きがボディへ伝わるときに、なにかを一枚挟んでいるような感覚に近いといえましょうか。乗り心地に関して、いい意味でフィルターをかけたようなフィーリングで、この快適性はフォレスターの美点といえそうです。

 サスペンションとボディの間にフィルターを挟んでいるような感覚というと、ハンドリングにおいてはネガティブなのでは? と思うかもしれませんが、新採用された「アクティブ・トルク・ベクタリング」が働いていないような日常的な速度域から、ステアリング操作に対するダイレクト感は、明確に感じることができるのも、新型フォレスターの特徴。

 スポーティに走るという評価は言い過ぎに思えますが、このルックスから想像するよりはロール感も控えめで、公道レベルであれば不安を覚えるシーンなどないといえそうです。

 こうして、公道試乗においては、シャシー性能において気になるところはほとんどない新型フォレスターですが、加減速によるストローク感と旋回時のロール感がズレているように感じるのが、数少ない気になるポイント。

 乗り心地とコーナリング性能の両立を目指しているのですから当然かもしれませんが、加速時に見せるリアの沈み込みに対して、横Gに対する外側の沈み込み具合が控えめで、その二面性が同時に現れるシーンで、ちょっとした違和感を覚える瞬間もあったのです。

 とはいえ、スバルのクルマは年改と呼ばれる毎年の改良を続けているのもセールスポイント。気の早い話ですが、大幅な改良を受けたフォレスター・アプライドD(D型)の次なる進化にも期待したくなる、公道試乗だったのです。

 ●スバル フォレスター 2.0XT EyeSight主要スペック

 車両型式:DBA-SJG

 全長:4595mm

 全幅:1795mm

 全高:1715mm

 ホイールベース:2460mm

 車両重量:1610kg

 乗車定員:5名

 エンジン型式:FA20 DIT

 エンジン形式:水平対向4気筒ガソリン直噴ターボ

 総排気量:1998cc

 最高出力:206kW(280PS)/5700rpm

 最大トルク:350Nm(35.7kg-m)/2000-5600rpm

 変速装置:CVT

 燃料消費率:13.2km/L (JC08モード)

 タイヤサイズ:225/55R18

 メーカー希望小売価格:3,128,760円

 (撮影・文 山本晋也)