2016.11.3 16:10
シベリア鉄道の旅客列車=2012年(共同)【拡大】
「本日も樺太新幹線をご利用くださいまして、ありがとうございます。この電車は、マトリョーシカ号モスクワ行きです。途中の停車駅は、ユジノサハリンスク…」。こんな車内アナウンスを聞ける日が、いつか来るのだろうか。
日露経済協力の目玉としてロシア側が要求してきたシベリア鉄道の北海道延伸案。日本の高速鉄道技術をロシアに導入する計画も併せて浮上しており、日本列島をモスクワ・欧州と陸路でつなぐ構想が、にわかに盛り上がりを見せている。
実は、ロシアは過去にも何度か日本側へ延伸案を打診しており、2013年には露極東発展省がサハリン(樺太)と大陸を結ぶ総工費1兆円の鉄道橋構想を発表した。結構本気の案件だ。
ただ、日本側では膨大な建設費に見合う効果があるのか疑問視する声が強く、政府筋は「まるで夢みたいな話だ」と一笑に付す。果たして夢物語か現実か。日本と大陸が鉄道でつながった日をイメージすると…。
稚内からサハリン(樺太)へ、海底を抜ける「宗谷トンネル」に入ると、ロシア語と日本語双方でアナウンスが流れてきた。
「みなさまロシアへようこそ。これから係員が入国書類の確認にうかがいます」
ニコリともしない無愛想な男性職員がビザとパスポートを次々チェックする。
2016年で完成100周年を迎えたシベリア鉄道は、モスクワと極東ウラジオストク間の9297キロを約1週間で結ぶ世界最長の路線だ。日本までの区間がこのほど新たに開通し、列車を乗り継げば東京からロンドンまで、鉄道で行けるようになった。