【シドニー=西村利也】日米など12カ国が参加してオーストラリアのシドニーで開かれた環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)交渉の閣僚会合は27日、関税などの物品市場アクセスや知的財産などのルール分野で「重要な進展」があったとの声明を取りまとめ閉幕した。
会合後の記者会見でオーストラリアのロブ貿易・投資相は、関税やルール分野の交渉が「最終コーナーに到達しつつある」と述べ、成果を強調した。
しかし25日からの閣僚会合では国有企業改革など難航分野の協議を進めたが、各国の主張には隔たりがあり、目標とする年内の大筋合意は厳しい状況となっている。
全体会合に先立ち、日米の閣僚協議も同日午前に開かれ、甘利明TPP担当相は協議後、記者団に「まだ日米の決着は見通すことができない」と述べ、決着を持ち越した。また、11月の北京でのアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議前に、日米の閣僚協議を再度開催する方針を明らかにした。
日米の閣僚協議では、甘利氏と米通商代表部のフロマン代表が会談し、難航している農産品や自動車、自動車部品の関税などについて話し合った。甘利氏は協議について「相当な進展はあったが、課題は依然、残されている」と説明。11月の日米閣僚協議までに政治判断を仰ぐ項目を絞り込むための事務レベル協議を加速させる考えを示した。