25日に開幕した環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)交渉の閣僚会合は目標とする年内の大筋合意に向けた「重要な節目」となる。ただ、交渉は日米2国間の関税協議に加え、交渉参加12カ国によるルール分野の話し合いでも遅れが目立つ。特に新薬データの保護期間などを扱う知的財産分野が交渉進展のブレーキとなっており、年内合意にはほど遠いのが現状だ。
「重要な時期に会合を開く。交渉のスピードは上がっており、年内の妥結に向け作業している」。オーストラリアのロブ貿易・投資相はこの日の会合でこう強調。甘利明TPP担当相も「ルールに関しては閣僚に上がってくる論点で結論を出し、交渉終結につなげたい」と訴えた。
しかし、こうした意気込みとは裏腹に、交渉は依然厳しい状況にある。
これまで交渉は日米協議が最大の停滞要因とみられていたが、甘利氏は24日夜、日米などの関税を扱う物品市場アクセスよりも「ルール分野の方が遅れている」と指摘した。
なかでも難航しているのが知的財産、国有企業改革、環境の3分野だ。特に知的財産は「100以上の案件が未解決のまま残っている」(通商筋)のが実情で、「今会合で妥結の道筋を示すのは無理」(同)との悲観論も聞かれる。