失われた20年-。バブル崩壊からの日本の低成長とデフレを象徴する言葉が、いま教訓として韓国でクローズアップされている。ウォン高が韓国経済にダメージを与える中、サムスン電子を筆頭とする基幹企業が不振。縮小均衡に陥る気配が、約20年前の日本に似ているからだ。
韓国内には焦りのムードが広がり、政府も経済対策を打ち出す方針を表明。現地メディアによるとスマートフォン(高機能携帯電話)が売れず業績悪化に歯止めがかからないサムスン電子は、7月下旬に約1000人もの幹部を招集した非常事態会議を開き、対策に乗り出した。韓国の経済を読み解くキーワードは2つの「異変」にある。
副首相が示す危機感
経済統計の“異変”を伝えたのは中央日報(電子版)。
韓国の経常収支は「黒字」傾向にある。6月までに28カ月連続で黒字を記録。今年の累計黒字額は、すでに前年より25%増え、過去最大という。
経常黒字は、ざっくりとえいば、輸入額よりも輸出額が多いときに生み出される富。海外向けに製品が売れている好景気の状態を示すが、いまの韓国は事情が違う。外需に比べて相対的に内需が弱く、海外からモノを購入する動きが鈍っているために起きた「不況型黒字」の可能性があるというのだ。