2014.6.11 11:30
今回は「中国不動産バブル崩壊」というオオカミは来るのかどうかに焦点を合わせてみた。実際に検証していくと、中国で不動産バブル崩壊が現実には起きなくても、今後長期にわたってチャイナ・リスクが世界を揺るがしそうなことがわかる。
最初に「バブル崩壊」の定義をはっきりさせておこう。単に不動産や株式などの資産相場が暴落する事態を指すとみなすのは不正確である。資産相場が継続的に下落する中で金融機関が巨額の不良債権を抱え込み、信用不安に発展して、初めてバブル崩壊になる。日本の1990年代初め、米国の2008年9月のリーマン・ショックが典型例だ。
では、中国が上記のようなプロセスをたどるだろうか。確かに中国の不動産相場は地方を中心に下落しているが、中国人民銀行が財務状況を掌握している金融機関の不良債権が急増というデータはない。
留意すべきは中国の「影の銀行(シャドー・バンク)」だ。地方政府機関を含む不動産開発業者は銀行からの融資と「理財商品」と呼ばれる高利回りの信託商品で資金調達している。銀行は理財商品の約半分を保証。過去5年間を合計すると銀行はおよそ17・5兆元(約300兆円)の不動産関連債権を持つ。中国のGDP(国内総生産)の3割近いので、確かに不動産相場が急落し続けると信用恐慌に発展してもおかしくないが、現実は必ずしもそうならない。