2013.8.15 10:17
米国の首都ワシントンDCから南に車で3時間ほど。チェサピーク湾河口そばに位置するバージニア州スミスフィールド市では最近、ダークスーツに身を包んだ男性らが闊歩(かっぽ)する姿が散見される。人口1万人に満たない地方都市に不釣り合いな面々は金融都市ニューヨークからの訪問客だ。
供給追いつかぬ中国
彼らはスミスフィールド市に本拠地を置く世界最大の豚肉生産企業、米スミスフィールド・フーズに雇われたM&A(合併・買収)を専門とする銀行家、弁護士、広報マンらである。
同社は今年5月、中国食肉大手の双匯(そうかい)国際から47億ドル(約4700億円)で買収提案を受けた。ところが米議会などから「待った」がかかっているため、対応策を協議しているのだ。
双匯は経済成長に食の供給が追いつかない中国の豚肉調達元としてスミスフィールドに注目した。上海の食品業界関係者によると、食用に飼育されている豚は世界で約10億匹で、このうち半分の5億匹前後は中国で占められる。2位以下の米国やブラジルなどとは大きく差が開いている。