2013.8.12 11:27
畜産の飼料だけでなく、食用油、食品の原料に広く使われるコーンスターチなど暮らしを支える商品の生産に影響しかねない問題が今年、表面化した。原因は世界有数の穀倉地帯、ブラジルで起きた異常事態だ。
同国南東部のサントス港。内陸から港に至る幹線道路は、穀物を満載にした大型トラックが100キロもの渋滞を作り、港の沖合では、おびただしい数の穀物運搬船が待たされていた。
穀物の増産で1990年代後半から飛躍的に輸出を伸ばし、農業大国の地位に躍り出たブラジル。その意外な弱点をあぶり出したのが、昨年の米国の穀物不作だった。調達先をブラジルに移す動きが広がったが、インフラの整備が追い付かず、主要な穀物輸出港が大混乱に陥ったのだ。
混乱の背景に中国
「普通なら1週間程度で穀物を積み込むのを40日も待たされた」(関係者)。日本の商社は早めに穀物を確保し切り抜けたが、「予想以上に船が滞り危うく供給が途切れそうになった」と商社関係者は明かす。
混乱の背景には「爆食」中国の存在がある。穀物運搬船の多くが向かう先は中国で、6万トンを運べるパナマックス級(全長約230メートル)なら、大豆だけで年間400隻ほどが太平洋を渡る計算だ。