外交と安全保障に自信をもっていた朴大統領は、経済については経済副首相と未来創造科学省、さらに大統領府の未来戦略首席秘書官の“経済ライン”に丸投げした感が否めない。
朴大統領は戦略通り訪米、訪中で「史上最大の歓待」(韓国メディア)を受け、ワシントンと北京から歴史問題で日本を痛烈に批判。韓国内はこれを「日本に対してぶれない姿勢」として好感し、政権は支持率を伸ばしている。
しかし、朴大統領は新たな省庁を創設し経済副首相まで復活させておきながら経済の苦境については沈黙している。
メディア、経済界、与党などから批判の集中砲火を浴びる玄氏に対して朴大統領は7月末の閣議で「4カ月にも満たない時間だが熱心に仕事をしてきた」と慰労。「経済司令塔の役割を一層、熱心に行うよう望む」と激励した。
だが日本の外交筋は「今の韓国経済は玄氏が一人で担うには悪すぎるし、その権限は各省庁や財閥の既得権益の壁を壊すほど無限ではない」と指摘する。
玄氏が繰り返し、世界の経済外交の舞台で日本のアベノミクス批判を展開していることから「今後さらに、日本批判を強めることは間違いない。日韓経済は韓国側の経済反日攻勢で、その距離はますます遠くなるだろう」と悲観的に見通した。(ソウル 加藤達也)