牛丼チェーン大手3社が9月下旬以降、牛丼の値下げキャンペーンを相次ぎ実施する。並盛り価格を50~80円幅で下げる。各社は昨年末から4月にかけて実施した値上げで客数の減少が続いており、期間限定ながらも値引きによって、遠のいた客足の回復につなげる狙い。ただ、デフレ下で過熱した値下げ戦争で「牛丼イコール割安」とのイメージが定着、価格以外の価値訴求に苦戦しているのが実情だ。
ゼンショーホールディングスは25日、傘下の「すき家」で、29日から10月8日までの期間限定で牛丼全品を60円値下げすると発表した。通常350円の牛丼並盛りは290円になる。期間限定の値下げは2013年12月以来。
すき家は4月から、牛丼価格を引き上げたことで客離れを招き、4~8月の既存店の累計客数が前年同期比10%超減少。このため期間限定ながら値下げすることで価格志向の客層の来店につなげる狙いだ。ただ、すき家本部の興津龍太郎社長は会見で、恒常値下げの可能性について「現段階では全く考えていない」と否定した。
牛丼大手は、どこか1社が値下げを公表すると全社が追随するのが慣例。今回の火付け役は吉野家ホールディングス傘下の「吉野家」だ。10月1~7日に西日本の店舗限定で並盛り380円を300円に値下げして販売すると24日発表したことが“引き金”となった。松屋フーズ傘下の「松屋」も25日、「プレミアム牛めし」を提供する店舗で10月15~22日、並盛りを通常の380円から50円値引き販売すると発表して追随した。