一方、日本は強制ではないものの、ほぼ制度化された仕組み。ただし、金融セクターなど収益のブレが大きい業種は開示していません。さらに、大きな変更が生じそうなときには、ただちに変更開示をすることが命じられています。この業績予想は日本だからこそ、投資家の注目を集めていると言ってもいいでしょう。
そして常々、「日本の経営者は慎重な人が多いから、期初に出す業績予想は控えめな予想になりやすい。だから、期中に上方修正をする可能性が高い」と言われています。本当なのでしょうか?
一橋大学の野間幹晴准教授の著書『日本企業のバリュエーション』(中央経済社)を参考に、実証分析をしていきましょう。
ここには、2003年4月~2005年3月の8四半期分を対象とした約3900企業年度の分析結果があります。結論から言うと、対象企業年度の約8割が期初に楽観的な業績予想を開示しており、当初挙げていた目標値に届かない企業年度が過半数以上存在しました。