■解説 国立環境研究所地球環境研究センター気候モデリング・解析研究室 釜江陽一
近年、日本では毎年のように豪雨や猛暑といった極端な現象(30年に1度程度しか起こらない現象を異常気象と呼ぶ)に見舞われている。一方でこの数十年間、世界的に気温の上昇傾向が認められ、21世紀にはさらにその傾向が強まることがほぼ確実と考えられている。ここでは、気象に関する極端な現象と地球温暖化の関係について、最新の研究成果を交えて簡単に解説する。
地球温暖化と日本の豪雨
近年、日本各地で豪雨の被害が多発している。一昨年(12年)7月の九州北部豪雨では、気象庁が初めて「これまで経験したことのないような大雨」という表現を用いて警戒を呼びかけ、一連の豪雨で31人の犠牲者が出た。また、今年8月には西日本・北日本の広い範囲で記録的な多雨になり、特に8月19日からの広島での大雨では、73人の犠牲者(広島県災害対策本部9月15日時点の発表)を出す惨事となった。