2014.9.15 07:50
川崎重工のガスタービンと燃焼器の位置【拡大】
川崎重工業は、工場で副次的に生産される水素ガスを有効利用しながらNOx(窒素酸化物)の排出を抑えられる水素ガス混焼ガスタービン技術を開発した。
燃焼温度を低く抑えることでNOx排出量を削減できるドライ・ロー・エミッション(DLE)燃焼器をガスタービンに搭載することで、副生水素ガスを60%まで天然ガスに混ぜて燃焼しても、排ガスに含まれるNOx値を天然ガス焚き並みの25ppm(1ppmは100万分の1)以下に抑えることができる。DLE燃焼器に、パイロットバーナーやメーンバーナーから噴出される燃焼ガスに加えて、追焚きバーナーから空気と燃料を投入することで燃焼の持続が難しい条件下でも燃焼を維持できる「追焚き燃焼方式」という独自方式を採用することで実現した。
発想を変え60%混焼実現
同社はパイロットバーナー、メーンバーナー、追焚きバーナーの多段バーナー構成によるDLE燃焼器を開発・実用化している。
既存のDLE燃焼器は、低排出の燃焼をさせるため、あらかじめ最適な燃料を空気と混ぜて燃焼させる「予混合希薄燃焼」方式をとるものが多い。しかし火が消えやすいか、あるいは火が燃焼域より上流の予混合部まで戻って燃焼器を溶かしてしまう「逆火」という現象が生じやすいという課題があった。このため予混合部には「1%程度の水素を入れるのがやっとだった」(ガスタービン・機械カンパニーの笠正憲ガスタービン開発部長)。