2014.9.12 10:25
朝日新聞は11日夜、東京都中央区の東京本社で記者会見し、東京電力福島第1原発所長として事故対応にあたった吉田昌郎(まさお)氏=昨年7月、58歳で死去=が政府事故調査・検証委員会の聞き取りに答えた「聴取結果書」(吉田調書)に関し、「所長命令に違反、原発撤退」と報じた記事の誤りを認め、撤回するとともに謝罪した。さらに、「慰安婦」問題についても訂正の遅れを謝罪し、おわびした。
木村伊量(ただかず)社長は自らの進退について、「編集部門の抜本的改革のおおよその道筋をつけた上で、速やかに進退について判断する」と辞任を示唆した。
誤りの原因について、木村社長は「調書を読み解く過程で評価を誤った。表現を取り消すとともに、読者のみなさまとともに、東電のみなさまに深くおわび申し上げます」と述べ、報道部門の最高責任者である杉浦信之取締役編集担当の職を解くことを明らかにした。
朝日新聞は吉田調書を入手したとして5月20日付朝刊で、「東日本大震災から4日後の2011年3月15日朝に、第1原発の所員の9割にあたる約650人が吉田氏の待機命令に違反し、10キロ離れた福島第2原発へ撤退した」と断じた。そのうえで、「東電はこの命令違反による現場離脱を3年以上伏せてきた」「葬られた命令違反」と東電の対応を批判していた。