東京電力は11日、入札で計600万キロワット分の火力発電所の建設・運営事業者を募集すると発表した。電力各社の入札では燃料費の安い石炭火力が有利とみられるが、東電は従来の募集条件を見直し、液化天然ガス(LNG)火力で価格勝負できるよう、割安な北米産シェールガスを導入しやすい仕組みにした。電力各社で初めての試みという。
原発の再稼働が見通せない中、老朽火力のフル稼働が続いており、建て替えや増設で供給力の確保を急ぐ。自社応札も検討する。
東電は昨年、260万キロワット分の新設火力の入札を実施したが、上限価格が低すぎたため、68万キロワット分しか集まらなかった。これを受け、今回は上限価格を非公表とする。
前回未達分と、新再建計画で打ち出している計1000万キロワット分の老朽火力建て替えの一部を合わせ、計600万キロワット分を募集。2019~23年度の運転開始を目指す。
LNG火力でシェールガスを燃料とする場合、将来のガス価格上昇分を東電が負う仕組みにした。応札者は、輸入LNGの約4分の1とされる現在のシェールガス価格で発電コストを計算できるため、石炭と価格勝負しやすくなるという。
また、前回落札した中部電力、新日鉄住金、電源開発の3社は今回も入札に応じて落札できた場合、前回分を辞退できる。