冬の電力供給綱渡り 火力酷使トラブル、停電リスク消えず

2013.10.24 05:00

 電力各社は、原子力発電所の再稼働が見通せない中、火力発電を定期検査の延長などで最大限活用したり、電力を融通し合ったりして今冬の電力危機を乗り切る方針だ。しかし、火力酷使によるトラブルで大規模停電となるリスクは消えない。今冬は、安倍晋三内閣の経済政策「アベノミクス」の影響で電力需要が高まる可能性もあり、綱渡りが続く。

 需給検証小委員会がまとめた報告書案によると、沖縄を除く9電力のうち、2桁の予備率を確保できるのは東京(10.2%)だけ。東日本大震災前、発電電力量の4~5割を原発に頼ってきた関西と九州の予備率は、最低限必要とされる3%台だ。

 国内の原発で唯一稼働していた大飯3、4号機(福井県、出力計236万キロワット)が9月に定期検査のため停止した関西は、今月1日に期限を迎える予定だった火力発電6基の定期検査を延長。12月に期限切れとなる2基についても延長申請する計画だ。

 関西は中部、北陸、中国の3社から計152万キロワット、九州も計71万キロワットの融通をそれぞれ受け、供給力を積み増す。しかし、原発をカバーする火力発電の計画外停止は年々増加傾向にある。設備トラブルが相次げば融通も期待できなくなる。

 一方、電力各社はアベノミクスによる経済効果で電力需要がどれだけ拡大するかに気をもんでいる。報告書案は、経済の影響による今冬の9電力管内の電力需要は、東京を中心に、2010年度比で165万キロワット、12年度比で236万キロワット増加すると試算。さらに想定以上に冬が寒くなれば、暖房需要の増加で需給逼迫(ひっぱく)につながる可能性もある。

 「頼みの綱」の原発は、5電力が計7原発14基の再稼働に向けた安全審査を原子力規制委員会に申請しているが、準備の遅れなどで、再稼働時期は14年度にずれ込む公算が大きい。(宇野貴文)

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