政府は15日、電力の小売り全面自由化などからなる「電力システム改革」の実施時期を明記した電気事業法改正案を閣議決定した。先の通常国会では与野党対立のあおりで廃案となったが、安倍晋三政権は成長戦略の柱と位置づけ、同日開会の臨時国会へ法案を提出し、早期の成立を目指す。
改正案には、全国規模の電力需給調整を行う「広域系統運用機関」を2015年をめどに設立することなどを盛り込んだ。同機関は、全国各地の需給計画や電力供給網の整備計画をとりまとめるほか、震災などの緊急時には電力会社が最適な需給調整を行えるようにするなどの機能を持たせる。
改正案の付則に、電力小売りの全面自由化は16年をめど、電力大手の発電と送配電部門を別会社にする「発送電分離」の実施時期は18~20年をめどに実施すると記した。また、先の通常国会の審議で与野党が修正を加えた部分については、今回閣議決定した法案に反映させた。
茂木敏充経済産業相は同日の閣議後会見で「電力システム改革は待ったなしの改革で、一刻も早く実行に移す必要がある」と述べ、早期の法案成立が必要と訴えた。経産省は、電力システム改革の具体的な制度設計を検討する作業部会を8月から開催するなど準備作業を進めており、「改革スケジュールに変更はない」(資源エネルギー庁)としている。