回収装置の新たな需要として見込んでいるのが、地球温暖化対策と原油の増産を両立させる「原油増進回収法(EOR)」だ。
時間がたった油田は原油の回収率が低下するケースが少なくない。そこに、プラントなどから回収したCO2をパイプラインなどを経由させて油田の油層に送り込めば、地下に残っている原油をより多く回収できる。油層に押し込んだCO2はそのまま地中にたまるため、地球温暖化防止の取り組みとしても効果がある。
西沢常務執行役員は「企業は国などからの助成金がないと地球温暖化の取り組みを進めにくい。だがオイルの増産につながれば(企業にも)メリットが出てくる」と強調する。
米国のオバマ大統領はCO2の排出量削減に向けた行動計画を打ち出しており、電力会社にとっては石炭やガス火力発電の際に出る排ガス中のCO2をどう処分するかは重要な問題だ。三菱重工の回収装置を使えば、CO2を油田を開発する会社などに売却することも可能になる。西沢常務執行役員は「米国のほか、中東、東南アジアなどにも石油が枯れている井戸がある」とビジネスチャンスを見込んでいる。(田村龍彦)