「プラレール」長く愛される理由 “青い線路”はどこまでも続く (2/4ページ)

2013.3.20 10:00

 新しいビジネスのきっかけはすぐにやってきた。東氏が異動してきた19年は、埼玉県さいたま市大宮区に鉄道博物館がオープンし、N700系新幹線が営業運転を開始するなど、鉄道ブームが再来した年だった。東氏は「鉄ちゃんと呼ばれる“おたく”だけのブームではなく、親子で楽しめる身近な文化として市民権を得た」と直感した。

 「プラレールアドバンス」の原型となるアイデアを発案したのは、入社3年目の若手社員だった。プラレールグループ開発チーム(当時)の井上拓哉主任は企画会議で東グループリーダーからハッパをかけられ、「青いレールの片側を使って電車を走らせ、すれ違いができる玩具」のデザインをノートに書き記し、東氏に見せた。

 実は、同じアイデアは10年にもチャレンジしたが、技術的な壁にぶつかり、実用化することはできなかった。しかし、「当時と比べ、技術力は向上している」と東氏は信じ、「もう一回トライしてみよう」と決断した。

 技術的な問題は、小さな電車のスペースに動力や電池などを押し込め、2台の列車の「すれ違い」をスムーズに行えるかだった。図面上では、問題ないはずだったが、試作品を作ってみると、すれ違いの時にわずかに「カチッ」とこすれる音がした。

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