KDDIのほかNTTドコモ、日本デジコム、JSATモバイルコミュニケーションズなどが昨夏から国内販売しており、従来機種より低価格で小型軽量のため官民で導入が相次いでいる。
総務省は大震災を機に非常用通信端末として衛星携帯電話の導入を推進。昨年、アイサットフォン・プロと「スラーヤ」(アラブ首長国連邦=UAE)の国内サービスを認可した。官公庁や自治体は大震災後、相次いで衛星携帯電話の調達に乗り出しており、大手通信事業者や販売会社による受注競争が激化している。
官公庁の競争入札をめぐっては、政府が2007年に情報システム調達の基本指針を策定しており、極端な低価格入札については契約履行の確実性などを調査することになっている。林野庁の案件については「制度に基づいて調査した結果、問題はなかった」(北海道森林管理局職員厚生課)としている。
KDDIは100台以上の端末価格を1円で納入しても、月額4900円の基本料や1分160円の通信料収入が見込めるが、官公庁に食い込むことで今後のビジネスに結びつけたい考えとみられる。だが、同社が大幅なコスト割れで契約を獲得しているとすれば、独占禁止法の不当廉売に当たる可能性もある。
公正取引委員会は「度を過ぎた不当廉売があれば問題だ」(経済取引局)としている。