0円端末登場
これまで一部の官公庁など特殊な用途で使われていたにすぎない衛星携帯電話サービスが本格普及期を迎えようとしている。料金の低廉化や持ち運びしやすい小型軽量の端末が登場して災害対策用通信手段として需要を喚起。NTTドコモ、KDDI、ソフトバンクモバイルなど大手携帯電話事業者が販売に本腰を入れ始めたからだ。官公庁や自治体では衛星携帯電話の大量導入を目的とした入札案件が相次いでおり、激しい販売競争が繰り広げられている。
震災後に一躍脚光
そんななかソフトバンクは2月末、通常の携帯電話と同様に端末価格が実質0円の衛星携帯電話を発売。価格破壊に先鞭(せんべん)をつける考えだ。緒に就いたばかりの衛星携帯電話市場だが、波乱含みの様相を見せ始めた。
東日本大震災で壊滅的打撃を受けた光回線や携帯電話基地局は広域で通信途絶を招いた。非常時の通信確保が自治体や企業の事業継続計画(BCP)にとって最重要課題の一つに浮上し、地上の被害に左右されない衛星携帯電話が脚光を浴びた。