この改修はまだ進んでいないため、日本側はつけいる隙があるとみて、重電メーカーと商社連合が巻き返しに動いているが、円借款など金融支援のめどが立たず、「このままでは社内投資の稟議(りんぎ)すら通らない」(関係者)と頭を抱えている。
「やるなら今」 求められる官民の“総力戦”
イラクでの日本勢の活動では、9月に東洋エンジニアリングの永田雄志会長がシャハリスタニ副首相(元石油相)と会談し、資源開発と関連するインフラ整備の基本計画作りに参画することで基本合意するなど、着実に成果を上げている。
しかし、電力インフラ整備などが本格化しているここで、政府による円借款の後押しを失えば、日本勢は「商機を失いかねない」(大手商社)。
日本政府は03年の支援国会合でイラク復興支援に米国の200億ドルに次ぐ50億ドル(35億ドルが円借款)を表明。昨年11月のマリキ首相来日時にも追加支援の7億5000万ドルを大盤振る舞いしており、来年度以降は民間資金にバトンを渡す意向だ。