商談会は、陸続きの地の利を生かし、トルコ企業と日本企業がスクラムを組んでイラク市場を攻めるという趣旨だったが、坂場氏の発言は、政府の後押しどころか、イラクへの円借款は卒業ともとれる内容だったからだ。
電力、水、原油生産施設、肥料プラントなど、イラクでの潜在的なビジネスチャンスは、アジアで注目のインドネシアのインフラ事業に匹敵する約1400億ドル(約11兆5000億円)規模と試算されており、大手商社やプラントメーカーを中心に、日本企業は復興ビジネスの獲得に目の色を変えている。
中でも多くの地域で1日8時間以上の停電が続く電力の安定供給事業は最大の標的だ。三井物産や三菱重工業などの5社連合は、総事業費約1800億円規模のナシリヤのガス火力発電所(計180万キロワット)の受注を目指すほか、三菱商事も、駐在員事務所が来年から本格化する天然ガスの回収・精製事業や電力案件の発掘に乗り出す。今年3月に日立製作所と共同で、アル・ムサイブ火力発電所の改修機器を受注した豊田通商も水面下で動いている。