洋上風力世界トップのシーメンスも、日本市場の開拓に向け、欧米で展開するタイプに比べ2倍の出力を持つ6000キロワット級の着床式を投入する構えだ。
洋上風力は、騒音などの問題を抱える陸上風力に比べ、立地の制約が少ない。海上は安定して風が吹くため、稼働率を高く保てる利点もある。だが、海底送電ケーブルなど送電網の整備が不可欠で、投資負担が陸上型より最大1.5倍に増えることから、国内の風力発電容量(250万キロワット)に占める割合は現在、1%程度の3万キロワットにとどまる。
しかし、政府は8月末に、原発依存度を下げる一方、再生可能エネルギーの導入を拡大する基本戦略を決定。固定価格買い取り制度の拡充などをてこに、30年には洋上風力の発電容量を原発8基分に相当する803万キロワットに引き上げる計画を打ち出した。国土の狭い日本が陸上型だけでこれを実現するのは困難で、計画達成に向けて洋上風力には追い風が吹く。
すでに、地方自治体や民間企業では国の政策を先取りする動きも出ている。茨城県が約25万キロワットの洋上風力計画を進めるほか、秋田県や山形県も導入に向けた検討を急ぐ。