ライバルも黙っていない。三菱重工の大宮英明社長は「今まで以上に力を入れる分野が洋上風力だ」と言い切る。その言葉通り同社は、買収をフル活用して、洋上風力発電の効率アップに直結する出力向上を急ぐ。10年には大型化を容易にする特殊な駆動部品に強みを持つ英国企業を買収。さらに欧州で洋上風車に高いシェアを持つデンマークのベスタスと提携協議に入った。これらの提携戦略などを通じて15年度に出力7000キロワットのシステムを実用化。遠浅の海が多い欧州では着床式、国内では浮体式と、地域別に売り込む。
再生エネに追い風 受注のカギは発電コスト
先行する日立、三菱重工に「待った」をかけたいのが東芝とシーメンス。発電分野は、過去の実績が次の受注に影響するだけに、市場競争で後手に回るわけにはいかないとの判断だ。
今年6月、韓国の風力発電機器メーカーの株式34%分を取得した東芝は、日立造船、JFEスチールなどと組んで洋上風力発電事業に共同で参入する。今後10年間で総額1000億円を投じて出力7500キロワット級の着床式を開発。22年までにトータル数十万キロワット級の設備を供給する方針。