若手にとってネガティブに働く関わりも…
なるほど、分かった。そうか、では…と読者上司の親心に火がつき、色々と面倒を見てやろうと気合が入ったかもしれません。
しかし、ちょっとお待ちくださいね(笑)。
そもそも、面倒見の良い親分肌の上司の方は、部下たちを気にかけるがあまり、「ほらほら、そこはこうするんだ」「違う違う、もっとこうやってごらん」というように、上司として彼ら彼女らに色々とアドバイスをしたくなる生き物です。
せっかくの親心を発揮した上司のあなたは、部下から「的確なアドバイスをくださってありがたい」「助けてくださって、ありがとうございます」という声を期待されるでしょう。しかしあいにくと、これをネガティブな「ダメ出し」「叱責」「自分の否定」と取る部下も多いのです。
いまの若手は、小さい頃から今まで叱られるようなことがなく、基本的に家でも学校でも褒められて育ってきた世代です。そんな彼らは、「承認欲求」が満たされないとやる気にならなくなっています。褒められないと「承認欲求」が満たされないということもありますが、それ以上に注意や指導が「承認欲求」を損ね、やる気を失くしたり反発を産むきっかけになってしまったりするので、要注意です。
だからと言って、アドバイスや注意、指導をしないのがよいということは絶対にありません。言い方、伝え方を工夫する必要があります。
その方法としては「こうするとどうかな?」のように問いかけを多用してみるのも一つの手です。または「ここをもうちょっと変えられないかな?」など、改善を示唆することも効果的でしょう。あるいは、「みんな良く勘違いするんだけどね」「俺も最初は良く間違えたんだけど」とクッション枕詞を使ってみるのも良いかもしれません。
若手メンバーが折れないような気遣いは、ひと昔前に比べてどうしても増量せざるを得ないということだけは、どうも間違いないようです。
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イマドキ若手になんとかやる気を出して欲しい、チームに融和して働いて欲しい、ある日突然出社せずのまま退職代行を使って辞めてしまったりしないで欲しい…だからと言って、彼ら彼女らに迎合しすぎるのも禁物。
上司としては、ご紹介したようなコミュニケーション上の工夫を心がけるとともに、そもそもは、決して偉ぶるのではなく、平素の行動の中で、経験の厚みからくる説得力や業務の専門性を発揮することで、イマドキ若手社員たちから「A課長はさすが専門性がずば抜けて高いな」「B部長の顧客対応力は凄い。今の自分には到底できない、いずれできるようになりたい」と、感服と信頼を獲得することを目指しましょう。
【社長を目指す方程式】は井上和幸さんがトップへとキャリアアップしていくために必要な仕事術を伝授する連載コラムです。更新は原則隔週月曜日。アーカイブはこちら