ミラノの創作系男子たち

絹織物の産地で育んだ夢 アーティストとアルティザンのバッグに挑む~女子編 (2/3ページ)

安西洋之
安西洋之

 実は、ジュリアはこの会社に入ると同時に、ボッコーニ大学の修士課程に入り直した。専攻はラグジュアリーマネジメントコースだ。

 聞き慣れないコース名だと思われる読者に説明すると、欧州各国にはラグジュアリー領域のビジネスを教える大学が少なくない。この二十数年の間に各地にできたコースでファッション、インテリア、ワイン、クルマ、グルメ、アート、ホテル、ジェット、クルーズなど、それぞれの分野のトップエンドのビジネスに携わる人材を育成する総合的な内容を多角的に教える。

 ジュリアはここで学びながら、世界各国からきた人たちとネットワークも作ってきた。そして、これを彼女の本業にも活用しようとしている。

 彼女が狙っているのはB to Bだけではない。この会社として初めてのB to Cのビジネスを準備中なのである。バッグを自社開発し、それを直接販売するプロジェクトを推し進めている。

 テキスタイルや刺繍の素材を選び抜き、お客さんの好みにフィットした組み合わせで提供するニッチ志向のバッグである。そうしたアートとアルティザンの要素が強い商品が求められていると、小さい頃からおしゃれには関心が高かったジュリアは実感している。

 これを成功させるためにも、ジュリアは走りきらないといけないのだ。

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