コロナで起きたのは、「リアル」で生きていた大量の人々が半ば強制的に「バーチャル」の世界での生活を余儀なくさせられたことです。新入社員の中には一度も出社することなく、そして上司に同行する経験もなく顧客への営業活動を始めた方もいるはずです。多くの人々は、居心地の良い場所として選んだのではなく、天変地異のような形でバーチャルな世界に放り出されたのです。
VALENTINOを着て目立ちたい、という極めて「リアル」な価値観が突然ゲームの世界に持ち込まれたのは象徴的だと言えます。バーチャルの世界でもリアルの世界と同様に上下関係を明らかにしたい、所属・経歴によって差別化したいというニーズは非常に大きいのです。
「オンライン社員食堂」にもニーズが生まれるかもしれない時代
オンライン会議でのスーツ着用や役職の表示、退出順のルールなどバーチャルを好む層からすれば馬鹿らしいと思うものでも、リアルの世界では心地よいと考える方は多いのです。これは上役だけでなく、気を使っている部下の方にも根強く残る考え方です。こういう人々を時代遅れと馬鹿にしたり、切り捨てたりするのはビジネスを考える人間としてはちょっと問題です。急激な変化に戸惑う層のための橋渡しをするサービスのニーズが高まっています。
「オンライン接待」「オンライン社員食堂」「オンラインで名刺交換」など、バーチャル・オンラインの世界では「なくすことができる」と考えがちですが、オンラインでも実現したいというニーズをすくい上げるビジネスチャンスは数多く残っています。ここが、これまでの「バーチャル空間ビジネス」とは違う点だと言えるでしょう。
【今日から使えるロジカルシンキング】は子供向けにロジカルシンキングのスキルを身につける講座やワークショップを開講する学習塾「ロジム」の塾長・苅野進さんがビジネスパーソンのみなさんにロジカルシンキングの基本を伝える連載です。アーカイブはこちら