「日本のマスクメーカーが元から生産委託する中国の工場には、実績と信用があります。そのため製造したマスクは中国国内へ優先的に流通させたらしく、日本への輸出分が大幅に減っていました。さらには、マスクビジネスを好機と捉えた異業種の工場が続々と参入してマスクを製造し始めました。ですが、日本のマスクメーカーは、製造環境や検品体制が確認できないので品質が保証できず、多くが取り扱いませんでした。私たちもマスクがお客さまの健康と生命にかかわる大切な衛生医療品であることを考慮し、新規製造企業のマスクは仕入れませんでした」(都内ドラッグストア関係者)
クレームや事故を避けるために仕入れなかった
先日、韓国製のアルコール消毒液が、表示されたアルコール度数71度より大幅に低い10パーセント以下だったことが販売後に発覚し、回収騒ぎになったことは記憶に新しい。これも韓国の異業種が参入して生産し、製造環境の確認も検品もできていなかったからだろう。
本来であれば、委託する日本企業と中国などの製造工場で契約書を交わし、衛生環境や検品、不良品などの管理を徹底しているが、異業種の工場が生産したマスクは、50枚入りのはずが1、2枚足りなかったり、鼻の部分のワイヤーが入っていなかったりと、低品質の状態で販売されているものも見かける。
大手ドラッグストアやスーパーは、マスクを仕入れる気になれば仕入れられたが、顧客からのクレームや事故を避けるために仕入れなかったというのが現実のようだ。
異業種である「シャープ」のマスクが、抽選、即完売などで話題となったが、これまた異業種である中国の自動車メーカー「BYD」が生産したマスクが、「イオン」グループの店舗で売られている。
当面、私たちは、中国製マスクに依存する状態が続くが、検品などを徹底して消費者が安心して使えるようにしてほしい。同時に今回のマスク不足を教訓に、使い捨てマスクの習慣と中国に大きく依存する現状を見直すきっかけになることを願いたい。(筑前サンミゲル/5時から作家塾(R))