ミラノの創作系男子たち

イタリア食材の伝道師 隔離生活でも「走り回る」 (1/3ページ)

安西洋之
安西洋之

 クリエイティブなシェフは毎日忙しい。新型コロナ禍による封鎖状況にあって自宅に籠りきりでも、やりたいことはたくさんあるし、多くの人に頼りにされるから相談にのることも多い。そのうえ4人家族の夕食もつくる。

 「アストリートが練習をしないと身体がなまるのと同じ。料理人も数日、厨房に立たないと、無性に新しい料理を試みたくなる」とエロス・ピッコは語る。日々、新しいアイデアの料理が食卓をかざり、奥さんや子供たちは大喜びだ。

 エロスは現在、40代後半。3年前までミシュラン1つ星のレストランをミラノ市内で経営してきた。その後、ビジネスコンサルタントと手を組み、イタリアの食材を世界に広げるための「仕掛け」に注力する会社をはじめる。

 輸出そのものも行うが、イタリア食材を使ってもらう環境づくりから考えていくのだ。即ち、教育やショークッキングまで、ソフトウェアを提供する。もちろん自らも教える。近くはバルカン半島諸国、メキシコ、ブラジル、中国そして日本にも舞台を広げている。

 コックコートにも拘る。

 「従来の服は、サイズがフレキブルにできているものが多いから、逆にこれという動作がしにくいという問題があってね。それでオーダーメイドでつくった。そして生地も自分なりに選んだ試作品も用意し、ショークッキングで披露していくつもり」

 こうやってビジネスをどんどん広げていく。前述したように、相談も多い。現在、飲食店内での営業が中止されている(店内での飲食許可は6月1日以降と予定されている)。しかし宅配は認められている。そこで色々な業者から「宅配にあったメニューとは?」「宅配の衛生上管理をどうするか?」とアドバイスを求められる。

 ぼくがエロスにインタビューした前日もウェビナーで100人以上に、この案件のレクチャーをしたようだ。かように家のなかでも「走り回っている」。

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