アディティが修士課程を終えるには、どこかの組織の現場でインターンシップを経験しないといけない。
「民間企業でのビジネス最前線ではなく、アフリカの社会や難民のために活動している非営利団体で職業経験できるような機会を探している」と彼女は話す。そこでも、イタリア語の壁があるのではないかと彼女は心配している。
こうした危惧がありながらも、彼女はイタリアの生活は快適だと享受している。何もかもインドと比べると物価が高いが、例外がある。ワインだ。
「インドでは1本20ユーロのワインがイタリアでは3ユーロで済む!」と笑う。
インドではバトミントンや水泳などスポーツに励んだが、ミラノに来てからは大学の勉強が忙しいのと心の余裕がなく、このところ身体を動かしてこなかった。
「でも公共交通があてにならないインドではUberばかり使っていたから、歩いて出かけるなんて滅多になかったけど、ここではおかげで沢山歩いている」
と言いつつ、気力が上向きになってきたのか、来週はジムに行こうと考えている。身体を使う場にいると案外文化差を感じなくなるものだ。一年後、インドに戻る前にもう一度彼女から話を聞きたいと考えている。それまでにイタリアのコミュニティに歓待された経験が増えていればと願う。
【ミラノの創作系男子たち】はイタリア在住歴の長い安西洋之さんが、ミラノを拠点に活躍する世界各国のクリエイターの働き方や人生観を紹介する連載コラムです。更新は原則第2水曜日。アーカイブはこちらから。安西さんはSankeiBizで別のコラム【ローカリゼーションマップ】も連載中です。