「最後の見直しは問題文の指示の確認」
この解法であってるんだっけ? この案はうまくいくだろうか?
私たちは日々「問題解決」に取り組んでいます。みなさんもロジカルシンキング・論理思考を身につけて、「より確率の高い」解決案を選べるようになりたいと考えているはずです。しかし、その前の「私が解こうとしている問題は正しいのか?」を考える必要があります。
問題設定は、それはそれで奥深いものなのですが、ビジネスパーソン、特に若手の方にとってはまず、「上司や顧客からの要望・指示を正確に読み取れたか?」という1歩目に最大限の注意を払って欲しいのです。
子どもや若手のビジネスマンは、「打ち手」に関して引き出しが少ないために、問題自体を「自分でも簡単に解ける問題」にすり替えてしまいがちです。
私の学習塾では
「ちょっとでも行き詰まったら問題文を読みなおしなさい」
ということと
「最後の見直しは問題文の指示の確認だよ」
というアドバイスをしています。
さて、さきほどの問題で「本当に」考えてもらいたいのは
- 「たかしくんはどこを間違えているのか?」
- 「たかしくんはどのような勘違いをしているのか?」
- 「たかしくんが理解しやすい説明はどのようなものか?」
- 「たかしくんが理解するのに役立つ例はどのようなものか?」
という「相手に伝わる」説明の工夫です。「相手の立場に立って」考えるトレーニングです。
ちなみに、子どもたちの最初の「説明」は次のようなものです。「たかしくんは間違えています。正しい答えは53だからです」
いかがでしょうか。このタイプの説明は社会人でも多く見られますね。間違えている人に対する説明が「あなたの答えは正しい答えと違うから」というのは、「なぜ」に対する説明になっていません。「トートロジー(同語反復)」というものです。
ロールプレイがカギ
これは、聞いている側に立つ機会がないとなかなか直らないクセです。小学生たちは、先生役と生徒役に分かれるなどのロールプレイを通じて、「相手が理解できる」というロジカルシンキングの基礎を学んでいくのです。
そもそもそういった学びの段階に到達するためには「問題を正しく受け取る」ことが大前提です。「簡単なことだ」と聞き流していると、問題の重要な前提条件などを見落とすこともあるでしょう。問題に取り掛かる前に問題自体をしっかり確認する習慣をつけてくださいね。
【今日から使えるロジカルシンキング】は子供向けにロジカルシンキングのスキルを身につける講座やワークショップを開講する学習塾「ロジム」の塾長・苅野進さんがビジネスパーソンのみなさんにロジカルシンキングの基本を伝える連載です。アーカイブはこちら