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洗練されたリーダーシップは「聴く力」に支えられる 日本文化が生かされる時 (1/3ページ)

安西洋之
安西洋之

 先週の数日間、監修をした『突破するデザイン』の著者、ロベルト・ベルガンティと東京で行動を共にした。ミーティングやワークショップを行ったが、その際に印象に残ったことがある。

 言葉、考え方、アプローチなどについて、「これは洗練されているかどうか?」を以前よりも問うようになった。もともと「洗練」という表現を多用する人だが、吟味の度合いが増したと感じたのである。

 ベルガンティの強調したいポイントが「移動」したからではないか?とぼくは読んだ。その「移動先」とは何か? 彼が繰り返す以下の言葉に、それは示唆されている。

 「誰のどのような言葉にも、それを発する理由がある。その理由を探ることが第一である」

 どの言葉が正しいか誤りかと判断するのではなく、一歩身を引いて全体像を如何に把握するか、ということでもある。彼が何も急に言い出したことではないが、ベルガンティはデザインやアートをイノベーション・リーダーシップ教育に適用する試みを昨秋から少数精鋭エリート大学であるストックホルム経済大学で行っており、リーダーシップのあり方として、この部分がより重要になってきたのである。

 「そんなの、前からそうでしょう?」という声がどこかから聞こえてきそうだ。

 1990年代以降でもイノベーションの対象がプロセス、チーム、コミュニティと移ってきて、現在、「人」に焦点があたり始めている。それに伴いリーダーシップに必要な要素も変わってきており、「聴く力」がより求められている。

 こういう背景からの「強調点の移動」である。

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