社会・その他

東電原発事故、予見可能性どう判断 旧経営陣3人に19日判決 (1/2ページ)

 東京電力福島第1原発事故をめぐり、業務上過失致死傷罪で強制起訴された同社元会長、勝俣恒久被告(79)ら旧経営陣3被告の判決公判が19日、東京地裁(永渕健一裁判長)で開かれる。最大の争点は、巨大津波を予見し、対策を取れば事故を回避できたかどうか。未曽有の事故から8年半。企業トップらの刑事責任は認められるのか。司法の判断に注目が集まる。

 他に強制起訴されたのは、ともに元副社長の武黒一郎被告(73)と武藤栄被告(69)。3被告はいずれも無罪を主張している。平成29年6月の初公判から計37回の公判が開かれ、今年3月に結審した。

 審理で特に時間が割かれたのは、事故前に政府が出していた地震予測の信頼性と、それを受けた東電内部の対応だった。

 政府の専門機関は14年、「津波地震が福島沖を含む日本海溝沿いで発生しうる」との地震予測「長期評価」を公表。東電子会社は20年、長期評価を基に「最大15.7メートルの津波が襲来する」との試算を示した。

 検察官役の指定弁護士によると、東電の担当部署は試算に基づく津波対策を検討し、同年6月に武藤被告に報告。しかし武藤被告は7月、長期評価の妥当性を土木学会に検討させるよう指示した。21年2月には3被告が出席した会議で、担当部長が巨大津波発生の可能性について言及したものの、対策は実現しなった。

 検察官役の指定弁護士は、3被告は津波の試算に接していたのに、より詳細な情報を収集することを怠ったと指摘。「津波の襲来は予見でき、対策していれば事故は防げたのに、漫然と原発の運転を続けた」として、3被告に禁錮5年を求刑している。

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