悩ましいのは、相手の好みや属性を踏まえて“狙いすぎた”ものを贈ると「下心があるのでは?」「モノで解決しようとしているのでは?」という疑念を抱かせてしまう可能性があることだ。主張しすぎず、あくまで添えるものという条件で選ぶのが望ましいという。
謝罪の際に何を渡せばいいのか?
そうは言っても、さまざまなケースに利用されやすい商品もある。謝罪の場に持参するものとしてポピュラーなのは「ようかん」だ。他の菓子と比べ、渡された際にずっしりとした感触があるので「事態を重く受け止めている」というメッセージを伝えやすい。また、ようかんは常温での賞味期限も長く、開封しなければ冷蔵庫に入れる必要がないので、相手に「保管場所をどうしよう?」と悩ませないのも支持されやすい理由だ。謝罪の品が相手の負担になるのは避けるべきだろう。
注意すべき点は他にもある。受け取った相手に「切り分けて関係者に配るのが面倒だな」と思われないように配慮することだ。加瀬さんは最初から切り分けてあり、配りやすいタイプのものを進めることが多いという。また、好き嫌いがあることも考慮し、さまざまな味のものが一緒に詰められているタイプを提案することもある。
ちなみに、必ずしもようかんにすればOKというわけではない。ようかんの賞味期限が長いため、ずっと職場に置かれている様子を見て「事態を引きずる」というニュアンスを感じる人がいるからだとか。そういったリスクを避けるためにも、すぐに消費されやすい小分けのようかんを用意することが好ましいという。
商品のパッケージで気を付ける点
和菓子と洋菓子の選択に迷った場合にはどうすべきか。加瀬さんは、カステラを勧めている。和菓子と洋菓子の中間にある存在というのがその理由だ。
ようかんのような条件を満たすものとしては、フルーツゼリーの詰め合わせや、最初から切り分けてあるタイプのカステラが挙げられる。いずれも、受け取った相手に保管に関する手間をかけさせにくいという特徴がある。
謝罪の際に注意すべきポイントは他にあるだろうか。加瀬さんによると、重要なポジションに就任する社員の年齢が低下していたり、実年齢と比べて嗜好が若くなっていたりする傾向があるという。一定以上の年齢層になると、洋菓子より和菓子を好む傾向が強まるが、この点も相手の嗜好を踏まえて判断したいところだ。
また、かつては重たくて大きいものが謝罪の場に持っていくモノとして選ばれる傾向があったが、加瀬さんは「現在はさりげなく添えるものが選ばれる傾向があります。あまり大げさにならないようにしましょう」とアドバイスする。