米ブルーノート・レコードが、創立80周年を迎えた。ジャズ専業でこれほど歴史を重ね、なお新作を出し続けているレコード会社は他にない。9月には、足跡をたどったドキュメンタリー映画が日本でも公開される。また、同社の発展には、日本が大きな役割を果たした。(石井健)
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「80年の歴史がもつ責任の重さは、重々承知している」と語るのは、同社のドン・ウォズ社長(66)だ。ベース奏者から出発して、2012年、同社の社長に就任。80周年をアピールするために来日した。
同社は、ドイツ系ユダヤ人のアルフレッド・ライオン(1908~87年)が1939年に米ニューヨークで設立した。“個人商店”に過ぎなかったが、その分、ライオンの信念が商品の隅々まで行き届き、その作品主義に共感したジョン・コルトレーンやマイルス・デイビスら、功成り名を遂げた演奏家たちも同社に作品を残した。
「ライオンは、録音前に入念なリハーサルを求めた。また、新人発掘に意欲的だった。その結果、同社の商品は常に演奏の完成度が高く、かつ新鮮だった。このため飽きられることなく、80年もの歴史を重ねることができた」と説明するのは、音楽プロデューサーの行方均(なめかた・ひとし)(68)だ。