靴を脱ぎ奥へ進むと、天井も高く広い暗闇の空間に、100人ほどの女性や子供がびっしり並びお祈りしていました。その空間の中央には高いやぐらのようなものが建っていました。初めて見る光景に、自分はどこに迷い込んでしまったのだろうと少し不安な気持ちにもなりました。それまでムスリム文化に馴染みのなかった私にとっては、体験したことのない雰囲気と空間だったのです。
足の踏み場もないほどに人で溢れた暗闇空間。そのうちの一人がマイクで何かを大声で唱え、みんながそれに倣い大声で返します。一定のリズムで左胸を拳で叩いていました。そのときはモスク内に女性と子供しかいなかったことが不思議でしたが、後で、イランのモスクは男女別だと知りました。
壁沿いにパイプ椅子が並んでいましたが、ほとんどの人は床に座っていました。私が外国人で初めて入ったと気付いたのか、近くの人たちが私に椅子を進めてくださったり親切にして下さいました。
マイクで唱える人に全員が倣い応えるということを長時間繰り返していたのですが、次第に声が大きくなりヒートアップしたかと思えば、顔も布で覆い隠した10人ほどの女性や子供が入口から入って来て、座って叫びながら祈っている大勢の群集の中を練り歩いて行きました。群集はその10人を祀り上げているようで、その10人にとっての何かお祝い事なのかなと感じました。
私は礼拝所の隅に座り、そうした光景をずっと見ながら人々の熱心さに圧倒され、また、イランの主婦たちは日中にこういう場所へ来て長時間お祈りをするのが習慣なのだろうか…と日本との違いに驚いていました。
ムスリムの目に映る日本って…
ほかにも、サウジアラビアやイランではたくさんの発見がありましたが、書ききれないので今回はここまでにします。中東の国々、またイスラム諸国は日本とは文化や習慣が大きく異なるためいろいろな意味で衝撃を受けました。
しかし立場を逆転させてみると、ムスリムの目には、日本人がお正月に初詣に行き長蛇の列をなす光景や、仏壇が家の中にあり蝋燭を灯し小さな鉄のお椀を小さな棒で叩き音を鳴らし、手を合わせる姿も最初は不思議に映るかもしれませんね。
私は、ムスリムの人々は信仰心が強く、みなが熱心な信者だという印象を受けましたが、ムスリムからすれば日本人もまた熱心な仏教徒だと感じるのかもしれません。きっとお互いに小さな頃からの習慣で当たり前のことなので、宗教を意識した上での行動ではないのかもしれないとも思います。
日本とは大きく異なる文化を持つ国々をまた訪れる機会があることを願っています。
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