今日から使えるロジカルシンキング

バフェット氏も実践 考えモレをあぶり出す「フレームワーク」とは (1/3ページ)

苅野進
苅野進

第4回 モレなく考える<基本>

 会議でもっと効率的に意思決定ができたら…。上司やクライアントをもっとスムーズに説得できたら…。仕事でこんな風に思ったこと、ありませんか? この連載では、子供にロジカルシンキングを教える学習塾ロジムの主宰・苅野進が、「今日から使えるロジカルシンキング」をテーマに、ビジネスパーソンのみなさんにその基本スキルを伝えていきます。

モレてもダブってもいけない

 「モレなくダブりなく」という言葉をご存知でしょうか。英語のMECE(Mutually Exclusive and Collectively Exhaustive)を日本語訳したものです。物事を検討するときに、考えモレがあってはいけない。さらに、同じことを重ねて考えてしまうと非効率なのでこれも避けなければいけない。つまり「モレなくダブりなく」考えることが大事だということです。

 例えば、ある企業が新製品の「売り上げ」を伸ばすことを考えて、あまりにも莫大な広告費をかけて販促していたとします。これは、企業にとって大切な利益を決める「コスト」について考えが及んでいないことになります。これが考え「モレ」です。また、同じ会社の中で「女性」を対象にした商品開発と「学生」を対象にした商品開発が同時に行われていたとすると、「女性の学生」について2つのチームが同時に商品開発していることになります。これが考えの「ダブり」です。

 今回は、「モレなく考える」ためのコツを紹介していきたいと思います。さきほどの「コスト」の例のように、考えに「モレ」があると非常に危険です。場合によっては、大きな損害が発生します。それを避けるためにはどうしたらよいでしょうか? 重要な項目について考え忘れることがないようにするには、チェックリストを作っておくことが有効です。たとえば、ミスが許されない「脳死」の判定には、必ずチェックすべき5つのポイントが明確に定められています。

「フレームワーク」はビジネス界のチェックリスト

 ビジネスの世界では、先人たちの経験や事例を研究することで、有効なチェックリストを作ろうという力学が大きく働いています。それは、「フレームワーク(枠組み)」と呼ばれています。フレームワークとは、ビジネスの世界で「考えモレ」をなくすために様々な業種、場面ごとに開発されたチェックリストです。経営コンサルティング会社や大学教授、ある分野を専門に扱っている企業などが開発し、発表・共有されています。有名なものを簡単に紹介します。

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