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無人運航船が導く大革命 「海のドローン」経済効果1兆円、国際競争も加速 (2/4ページ)

SankeiBiz編集部

コスト削減で「儲かる産業」に?

 そもそも無人運航船の導入が期待されているのはなぜか。最大の問題は、日本の少子高齢化だ。海運業界も直撃し、足元では内航海運では50歳以上の船員が半分を超える。日本財団は、内航海運全体の船員数も2015年の約2万人から5千人減少すると予測。

 とくに過酷な海上勤務を嫌う若手の船員の離職が問題視されており、多くの事業者が今後の事業課題として「船員確保が困難である」点を挙げている。

 一方で、海運業界において人件費のコストは大きく一日の運航費の40%を占める。無人運航船の導入で人件費を削減できる効果は小さくない。試算では、一人のオペレーターが複数の船舶を運用することで、オペレーションコストが約20%削減可能とされる。

 無人運航船の導入で収益機会の拡大も見込める。浮いた船員用の施設やスペースで貨物を増やすなどの有効活用を図り、寒冷地など厳しい気候での運航も容易になる。無人運航船の調査研究を行っている三菱総研フロンティア戦略グループの武藤正紀主任研究員は「海運はもうからない産業と考えられているが、付加価値が上がる」と指摘する。

「海のウーバー」が日本を活性化

 資源小国の日本にとっては産業力強化への貢献も期待できる。無人運航船の導入に伴う新たな造船技術や情報処理に関する関連産業や市場の拡大はもちろん、無人船をプールすることでのオンデマンドの輸送サービスが提供されれば、「いわば『(配車サービス大手の)ウーバーの海上版』のような世界で、手元に船舶がなくてもビジネスができる」(武藤氏)可能性が広がっていく。

 異業種との協業で付加価値が上がることも考えられる。島国の日本は周囲を海に囲まれている。たとえば、瀬戸内海での海洋観光、離島への医薬品輸送、無人運航船と連動した物販やエンターテインメントなどが今後期待されている。

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